「……なんて、本心はそうなんだけど」

「えっ?」

さっきまでの声色とは違ったほぐれたような声に思わずそらしていた目を合わせた。

「最初は、形に残るようなもんでも渡してやろうかとか考えたんだけどさ。小山ならテキトーな気持ちで受け取らないだろうなって思ったから、食べ物にした」

「た、食べ物?」

「うん。だから、安心して受け取ってよ。手当てのお礼でもあるから。小山の応急処置のお陰で治りも随分早いし」

二見くんはそう言ってこの間怪我した指を見せてくれた。

そこには絆創膏が一枚貼ってあるだけで、研修の時に比べてだいぶ治りかけって感じだ。

「ちょっとは安心した?」

「えっ、あっ、うん……」

その返答に、二見くんが「ハハッ、素直すぎ」と笑う。