絶対に許せないって思ってた。

最低な人だって。

なのに。

私って単純なのかな。

ううん、単純だって呆れられたっていいって今は思えちゃうかもしれない。

一度好きになった人のことを、ちゃんと今、あの時好きになったのが彼でよかったって言えるから。

余計なことを言っちゃって、肝心なことは口に出せないのは、きっと私だって日頃あることで、実際、二見くんにもそうしてきたかもしれない。

人生はじめての告白が、嘘じゃないとわかっただけで、あの時触れた手の温もりにちゃんと好きだって気持ちがあったってだけで。

ずいぶんと救われる。

きっとあの頃の私たちは、何もかもが初めてだだから。

目があっただけで、顔が熱くなるのも、

帰り道があっという間だと感じた瞬間も、

初めての恋の何もかもが、あなたでよかったとちゃんと思える。

「二見くん、あの時、私のこと好きになってくれてありがとう。私も、ちゃんと好きだったよ」

心からそう言えた。