「周りの奴がどんどんいろんなことを覚えていくのを見て、勝手に焦った。それから、早く俺のものにしなきゃ、小山がどっか行っちゃうって思った。何か形がほしかった。小山は俺のだって証明が」

あの頃、口数の少なかった二見くんが、蛇口を勢いよくひねって出てきた水みたいに、一気に話すだす。

「……自分でもなんであんなやり方したのかよくわからない。好きの示し方がうまくわからなかったんだ。ってか、今もそう。なんか、うまくできねーの。好きとごめんがずっと言いたかっただけなのに。時間がたったから今度こそうまくできるかもって思ったのに、やっぱりまた小山のこと苦しめて」

「二見くん……」

そんなことまで考えていたなんて全然想像もしていなかった。
ただの使い捨ての存在にしか見られていないんだろうと思っていたから。

「あの時言った言葉も、小山を守るつもりで、そう言った。小山すげーんだからもっと堂々としてろよって。人よりも自分のことまず大切にしろって。でもそれが、いちいち煽る言い方しかできなくて、逆に俺が小山の人生めちゃくちゃにしてた。ほんと……ごめん」