クール王子ととろける溺甘♡同居


「おいで」

希夜くんの穏やかな声と同時に、さらに手を引かれて、流れるように隣に座る。

肩と肩との距離がゼロになったかと思えば、フワッと希夜くんのいつもの香りが広がって、目の前に影ができる。

気づけば、お互いの吐息がかかる距離に希夜くんの綺麗な顔があって。

「……っ、」

あまりの至近距離と端麗な顔立ちに、息をするのを忘れそうになる。

「なんかあったよね?元気ない」

希夜くんが、私の少しの変化に気付いてくれた、その事実が、心強い。

だけど、これは私の問題で。

希夜くんの好意に甘えて助けてもらっちゃばかりじゃダメ。

「っ、何にもないよ」

「ほんと?」

「うん」

希夜くんに嘘をつくのは心苦しいけれど、仕方がない。

希夜くんのことが好きだと言う感情に気付いてしまった以上、ますます過去の話はしたくないし。