「私、彼の担任の佐々木です」
「あっ、担任の先生」
特進クラスは教室の棟自体が離れているから、担任の先生の名前や顔も全然把握してなくて、言ってもらうまで全然気が付かなかった。
「須永くん、最近すごく表情が出てくるようになったから、もしかしたら小山さんのおかげなのかなって」
「っ、いえ、そんな私は何も……」
「女の子には人気だけど遠巻きに見る子がほとんどだし、2年に上がってもなかなか同性の仲良い友達もできないみたいだから心配してたのよ」
「そうだったんですか……」
希夜くんが前に友達がいないなんて言ってたの、希夜くんの勘違いなんじゃないかって思ってたけど、担任の先生が言うってことは本当だったんだな。
「真面目だし勉強は真剣に取り組むからすごくもったいないなって思ってたの。でも最近、クラスでも少しずつ話すようになってたし今日もいろんな人たちと話せてたみたいだからホッとして。何がきっかけかわからないけれど、指名するぐらいだし、小山さんのこと気に入ってるのかもね」
「き、気に入ってるなんてそんな」
顔が火照っているのが自分でもわかる。
「まぁ、理由はなんであれ、これからも彼のことよろしくね」
先生は私の肩をポンっとすると部屋の中へと戻って行った。



