「小山さん、大丈夫?体調悪い?」

「え、あぁ、ううん。ちょっと緊張しちゃって。こういうの初めてだから」

私の顔色を伺いながら心配そうに聞いてくる希夜くんに、ちょっとだけホッとして顔を上げる。

「よし、全員いるな。今日から3日間、このメンバーでチームワークを学ぶのと同時に──────」

先生の話がうまく頭に入ってこない。

心臓がまだバクバクとうるさくて、手には汗がジワリと滲む。

さっき、確か先生は私のことフルネームで呼んだよね。

だとしたら、彼にも私がここにいること知られてしまったかも。

……いや、もう四年も前のことだし、そもそも、友達との賭けのために付き合ってただけの私の顔なんてたいして覚えていないかも。

気持ちなんてこれっぽっちもなかったんだから。

そもそも、本当にただ苗字が同じだけかもしれないし、私の考えすぎかも。

「では、一度荷物を置くために本館に移動してから再びこちらに集合します」

先生のその声で私たちは施設の本館へと歩き出した。