「実は、来週、学校代表の生徒が参加する宿泊研修があるんだけれど、参加予定だった女子生徒がインフルエンザになっちゃってね」
「は、はい」
宿泊研修か。
そういうのって、学力の高い生徒たちが代表で選ばれて、こっちの知らない間に参加してるイメージだったから、こうやって話されると別世界の話をされてるみたいで、どうも他人事だと思っちゃう。
どうしてそんな話を私にするんだろう。
「どうも来週の月曜日に間に合いそうになくてね。誰か代わりにって思ってたら、男子代表の須永くんが、小山さんを指名してね」
「え、わ、私?!希夜くんが?!」
希夜くんが宿泊研修に行くなんていうのも初知りだし、私をご指名なんて……。
「あら、小山さん、もしかして須永くんと……」
「え!あっ、いや、な、何もない、です!はい!」
思わず先生の前で「希夜くん」なんて呼んじゃったから、変に誤解されたんじゃ。
恐る恐る先生の顔を見ると、なにやらニヤニヤと笑っている。
「青春ね〜。あ、でも研修は健全な勉強会だからね?須永くんのことだから変な気起こしたりしないだろうけど」
先生は「じゃ、よろしくね!」と言ってそのまま廊下を後にして行ってしまった。



