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「小山 花純さん、いるかしら?」
舞子とご飯を食べ終わって弁当箱を片していると、私の名前を呼ぶ声がした。
顔を上げると、教室のドアの方で学年主任の先生が教室をキョロキョロと見渡していた。
「今、あの先生花純のこと呼んでたよね?」
「う、うん……」
舞子も聞こえてたみたいだから聞き間違いじゃないではない。
「小山さん─────」
「は、はい」
先生がもう一度名前を呼んだので、席から立ち上がって控えめに返事をすると、先生とバチッと目が合った。
「ごめんなさいね、貴重な昼休みに」
廊下の窓側でそう話し始める先生に「いえ」とだけ返す。
なんだ、なんだ。
呼び出されるようなことしたかな私。
先生から、「ごめんなさい」って言ったぐらいだから、怒られるようなことではないと思うけれど。



