希夜くんの家にお世話になってから、1ヶ月がたち、11月に入った。

私は相変わらず、夜のあの時間だけ希夜くんの部屋にお邪魔して男嫌い克服を手伝ってもらっているけれど、

映画を観にいったあの日のような触れ方はピタリとなくなった。

することと言ったら、学校であった話や、希夜くんのご両親である恵美さんや寛さんの話。

一緒に見たドラマの話や、ネットで見つけたポピーの新しいグッズのことなんか。

あの日、これ以上は、と止めたのは自分だけれど、もう希夜くんがあんな風に触れてこないことに寂しさを感じているのも事実で。

最近、本当に自分がよくわからない。

でも、希夜くんと色々と関わっているお陰で、クラスの男子とも随分普通に接することができるようにもなっていて。

今までは、目が合わないようにしていたし、男子が集まってる空間は避けるようにしていた。

だけど、最近は、日直の人にノートやプリントを集める時声がかけられるようになっているし。

舞子やほかの友達が間に入ってくれさえすれば、少しの会話もできるようになってて。

クラスの女の子たちからは、『明るくなったね』なんて言われるようにもなって、希夜くんのおかげだとつくづく感じる。