「小山さん、ホントはこういうことするの、すごく好きなんじゃない?」

「どういう意味……べつにそんな」

「敏感だから」

「っ、そんなこと言われたって、そりゃ急に触られたらびっくりするよ。慣れて、ないし……」

身体の反応なんて自分ではどうすることもできないので、答えに困ってしまう。

「そーだね。じゃあ、慣れて」

「ちょ、」

希夜くんは、私を抱きしめる力を少し強めてから、今度は私の首元に顔を埋めた。

「待って、希夜くっ……」

彼のまだ少し湿った髪が肌にあたってくすぐったい。

普段はフッと優しく目を細めて笑ってくれるのに、その触れ方はほんの少し強引で。

だけど、不思議と嫌だとは思わない。

きっと、私が本当に嫌だと思ったら、希夜くんならすぐに辞めてくれるってわかっているから。

恥ずかしくてどうにかなっちゃいそうなのに、心のどこがでは離して欲しくないみたいな。