君だったんだよ。

「子供でいいし、じゃあ、私はこれで」

私は後ろを向いて歩いた。


「まって、行く場所あるの?」


あ、そういえば、行く場所もこれからどうするのかも決めてなかった。

うーん、ホテルって言ってもお金ほとんど持ってきてないし。

と悩んでいたら彼が...


「決めてないんなら俺の族に来なよ、そしたら行く場所見つかるだろ?」


今、族って言った??族ってもしかして...


「あの、さっき言ってた族って暴走族のこと...?」

「そうだけど??お前、強いしさ、居場所がないなら来いよ」


居場所...

たしかに前まであったけど、もう失っちゃったんだよな。

ここら辺をウロウロしてたらまた目を付けられちゃうし...

しょうがない、ついて行くしかないか。


「わかった、行く」

「おう」


それが雷(らい)と出会った、最初の思い出だった。