「それなら安心せい。わらわがそなたを守ってやろう。私はコノハナサクヤヒメ。ニニギの妻じゃ」

美しい容姿から飛び出した予想外の言葉に、沙月は「えっ?えっ?」と戸惑う。

「コノハナサクヤヒメ……絶世の美女と言われる桜の姫。しかし、日本酒の神でもあり、燃え盛る産屋で子どもを産んだ」

葉月の説明に、「よう知っておるな、若造よ」とサクヤ姫は美女らしからぬ豪快な笑いを見せる。

そして、次に「俺も会ったことあるだろ?」と他の神より軽く動きやすような衣装の神が声をかける。

「あっ!あなたは裁判にいた……」

沙月が言うと、「そう!俺はオオサギノミコト!氷の神だ」とにこりとオオサギは笑う。

「……あの時は、ありがとうございました」

葉月が頭を下げたので、沙月も慌てて頭を下げる。オオサギは葉月が無実だと言ってくれた神だ。

「おいおい……。照れちまうよ」

オオサギははにかみ、頰をボリボリとかく。沙月はオオサギに微笑んで感謝を伝えた。