牢に閉じ込められて、三日。することもなく、ただ鉄格子の外を見つめるだけの時間。葉月は何度も苛立ちを覚え、それと同時に沙月に会いたくもなった。

「……沙月……」

葉月がそう呟いた刹那、見張り番が「お、お疲れ様です!!」と慌てて言う声が聞こえてきた。神が来たようだ。葉月は心の中で舌打ちをする。神になど会いたくないのだ。

「やっほー!元気?」

そう言って葉月の牢の前に立ったのは、豪華な着物を着たスーだ。葉月は盛大に舌打ちをする。

「これのどこが元気に見えるんだよ!!からかいに来ただけならさっさとどこかへ失せろ!!それとも、テメェの顔面が崩壊してえのか?」

葉月が毒を吐き、見張りが怒鳴る。しかし、スーはニコニコしたまま牢の鍵を開けた。

「……は?」

驚く葉月に、スーは言った。

「ちょっと来てくれない?」

そう言ってスーは、葉月につけられた手錠を外した。



その夜、沙月は侍女に「イザナギ様がお呼びです」と言われ、赤い着物に着替えイザナミの部屋へと向かった。

裁判の日以来まともに会っていないため、緊張が沙月の中に生まれていく。