すてきな家族、と沙月は微笑む。

葉月も、沙月の家では見せない素直な表情を見せる場面も多く、沙月は胸を高鳴らせながら来てよかったと思った。

次の日、朝から早速葉月と沙月は屋敷の敷地内にある蔵へ向かう。

その蔵は見た目はまだ綺麗に見えるのだが、扉を開けると埃やゴミで沙月は一瞬にして咳き込んでしまった。葉月も慌ててマスクをつける。

「何十年も掃除してねぇのに、物はどんどん詰め込むからな…」

葉月がそう言いながら、近くにあるたんすの引き出しを開ける。開けた刹那、またしても埃が舞った。もう見ているだけで咳き込みそうだ。

「私、こっちの方探すね…」

沙月は咳き込む葉月にそう言って、その場を離れる。

今朝もまた、サシャとツキヤの夢だった。今回はいつものように二人のデートしている場面ではなかった。

広い部屋に、苦しげな表情のサシャとツキヤがいる。その目の前には、威圧感を放つ男性と悲しげな目の女性。