「えい!」

キングが、思い出を塗り替える術をかけ、その場は収まった。

妖怪たちに帰ってもらい、沙月と葉月はまた京都観光を楽しむ。しかし、沙月の心臓はさっき戦った時よりも高鳴っていた。

「どうした?」

じっと見つめてくる葉月。沙月は「えへへ…」とはにかむことしかできない。

「何なんだ!気持ち悪いぞ!」

葉月がそう言ったので、沙月は慌てて「さっきも、かっこよかったよ」と言って頰にそっと唇を当てた。

「……バカ」

真っ赤に顔を染め、沙月にキスされたところを手で押さえながら葉月は呟いた。



葉月の家は、沙月が想像している以上に大きくて立派なお屋敷だった。

「葉月の家を私たちが守らなくて、逆に葉月の家に守られてるって不思議〜」

そう沙月が言うと、葉月は「この屋敷はただボロっちいだけだぞ?」と苦笑する。「自分の家でしょ!」と沙月は思わずツッコミを入れた。

葉月の両親も、祖父母もとても優しくて温かい人だった。用意してくれた夕食もおいしかったし、話も聞いていて楽しい。