まず、眠っている間に悪霊に襲われないように空き家の隅々まで結界を張っておく。術の途中では、目を覚ますことはできない。

次に、不思議な呪文が書かれた毛布を敷く。そして、グラスに自分の血を三滴落とし、特別な水を注ぐ。

それを飲み干し、二人は布団の上に横になった。しっかりと手を握る。

「我の奥深くに存在する力よ、今ここで我に真実を教えたまえ」

葉月がそう言った刹那、沙月を強力な睡魔が襲う。術がうまくかかったのだ。

「……おやすみ」

その眠気に抗うことはできず、沙月と葉月は眠りに落ちた。



サシャとツキヤは、花火を見に来ていた。サシャは変装し、庶民が着る浴衣を身につけている。しかし、その美しさは桁違いだ。

男女関係なく、サシャの姿を見た誰もがその美しさに見とれた。

「……何だか落ち着かん。みんなジロジロ見てくるし、似合わないのだろうか?」

サシャは、浴衣を着たツキヤに訊ねる。ツキヤは笑って「大丈夫ですよ」と笑った。

「みんなが振り向くのは、あなたがお美しいからです」