夢の内容を思い出していた沙月は、ふとあることに気づいた。

「ねえ!ツキヤとサシャってさ、私たちになんか似てない?」

性格は全く似てはいないが、顔は二人とも沙月や葉月にそっくりだ。

「たしかに……言われてみれば、そうかもな」

「でしょ?ツキヤって、めちゃくちゃ優しい紳士だよね〜。葉月は真逆で口悪いし、スーとすぐ喧嘩するし。フフッ」

顔は同じなのに、紳士的なツキヤと真逆な葉月に沙月は思わず笑ってしまう。すると、ペチンと葉月に両方の頰を潰された。

「そういうお前こそ、サシャよりずっと臆病でビビリだよな〜?」

意地悪な笑みで、グリグリと沙月の頰を葉月は押す。

「ごめんなさい!やめてください!」

沙月はしばらく葉月に遊ばれた後、やっと解放される。

おふざけは、ここまでだ。葉月はまた真剣な表情に戻っている。沙月は、熱くなっていく頰をそっと押さえながらその光景を眺めていた。

「とりあえず、眠る術をかけて夢を見てみよう」

葉月はそう言うと、テキパキと術の準備を始める。沙月もそれを手伝い、支度は整った。