空には、美しい満月が見えていた。いつもより少し大きい美しい月。その光は優しく地上を照らしている。

動物霊たちは鳴いた後、静かに消えていく。沙月たちはその光景をじっと見つめていた。

動物霊たちは、ヤマタノオロチに操られたも同然。絶対に野放しにしてはならないと沙月は拳を握りしめた。



それから、闇に憑かれた動物霊や人の霊を倒しながらの旅が続いた。

道を進むにつれて、闇は奥深くなっていく。沙月たちの緊張も大きくなっていった。

旅が始まって五日。ついにその時はやって来た。

「……あれがオロチ……」

普段冷静な葉月でさえ、言葉を失う。沙月の目も目の前の光景から離せない。

草原の中をゆっくりと進んでいく巨大な大蛇。首は八つ付いており、赤い目がギョロリと動く。

「……沙月」

葉月がそっと沙月の手を握った。

「俺が必ず勝利に導く」

その目は力強く笑った。沙月もギュッと握り返す。

「……私も頑張る」

負の空気は重く二人にのしかかる。それでも、未来のために怯えてなどいられない。

「突撃〜!!」

イザナギの声で、神々は一斉にヤマタノオロチに向かって走り出した。