「……帆乃から甘い香水の匂いした」


甘い香水……。


頭の中に、葉月くんの顔が思い浮かぶ。



「僕のでも、帆乃でもない、
他のやつの匂い。あれだけきつい匂いが移るってことは抱き合ったりした……とか」



あからさまに動揺を表すように、身体をピクッと震わせてしまった。


顔は依生くんの胸に埋めているから見られずにすんだものの、今のわかりやすい反応は肯定したも同然。



「……今日、帆乃は誰と一緒にいたの?」


「っ、」



「その様子からすると男?」


明らかに依生くんの機嫌が悪そうなのが、声のトーンでわかる。



「じ、じつは今日後輩の子に友達になってほしいって言われて」


「なんで急に?」


「わ、わかんない。最初はわたしのこと地味地味って言ってて。それなのに急に可愛いって言い出すから……」