「それはですね。移植です。」と先生は言った。
「移植…」と父さんが言う。
「はい。」と先生。
「そんなの、私達に関係ないじゃないですか!」と母さん。
「悪性リンパ腫は、血液のガンです。親族にしかできない事です。」と先生が言う。
「私達には、関係ないです。」と母さんが言って、病室を出て行った。その後を追うように父さんも…
私は2人の背中をボーッと見ていた。
「姉さん。俺らは検査するから。」と龍が言った。
他の2人も頷く。
「私も!」と藍も言った。
「ありがと。」私は言う。
「それでは、みなさんには検査に…立川さん。ガン細胞を殺すには、抗ガン剤がありますが、どうしますか?」と先生が言った。
「やります。」私は言う。
副作用が有りますが、と先生が付け足す。
「やります。」それが私の誠意だ。