最後の一瞬でもいい…君に会いたい

touch.4 記憶に閉じこもる

「拓真さんは、左膝の神経を酷く損傷しています。」

東方先生はついに、切り出した。

「正しく根気強いリハビリと、短期間でいいので入院が必要です。」

事実を表情を変えることなく淡々と告げる東方先生は
まるでロボットのようだった。

「小さい頃からされているというサッカーも、今後は許可できませんし、難しいでしょう。」

このうえない絶望に包まれる。

「ははっ。」

途端に、かわいた笑い声が口から漏れた。

「嘘…ですよね?」

少し困った顔で笑う東方先生……その顔が、お父さんにどこか似ていた。

「拓真さん。ゆっくり受け入れていきましょう。」

チカチカとした
鮮やかな光が視界を包んでいく。

「いやっ!いやです!そんなの……そんなのっ?!受け入れられるわけないっ!!」

出来なくなる?サッカーを?

「嫌あぁあぁあぁ!!」

私は、取り乱して叫んだ。

わがままを言う子供のように。

サッカーを失うなら、死んでしまった方がマシだ。

小さい頃の唯一のお父さんとの記憶。

サッカーが私を支えてくれていたのにっ…。

鼓動が息が……あがっていく。

「ハァッ!ハァッ!………ハァッ!!」

私は居てもたってもいられずに立ち上がった。

「嫌だっ!嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だっ…!」

がたんっと音を立てて椅子が倒れる。

「拓真さん!落ち着きましょう!」

駆け込んでくる看護士さん。

私に、そっと伸ばす手が気持ち悪くて、反射的に払いのけた。

「私に触るなぁっっ!!!!」

気づけば、とても大きな声で叫んでいた。

ガクガクと震え出す腕と足。

「拓真さんっ!」

プツッと音を立てて私の意識は途切れた。