膨れ上がった明日香の顔は、ふやけた頬肉のせいで目が埋もれてしまっている。


それでも、あたしへ向けて手を伸ばし続ける明日香。


「愛奈ぁぁ!!!」


「来ないで!」


咄嗟に、近くになった物を握りしめていた。


それを思いっきり明日香に投げつける。


ソレは膨れて柔らかくなった明日香の体に深く食い込み、明日香は倒れ込んだ。


「あたしの日記……」


咲紀が呟いた。


あたしが握りしめて投げつけたソレは、咲紀の日記だったのだ。


ただのノートであるそれは、まるでコンクリートのように重たかった。


「大事な日記……」


咲紀はボロボロの姿で日記に手の伸ばす。


「なんだよお前ら……あたしの前に出てくんな!!」


あたしは大声で叫び、そこでようやく悪夢から目が覚めたのだった。