倒れた咲紀に近づいた時、咲紀は身を縮めて今までにない怯え方をした。


目を見開き、まるで魔物でも見るかのようにあたしを見上げている。


「なんだよその顔。そんなにあたしが怖いか?」


そうだよね。


だからこそ、咲紀は自殺したんだ。


そう思った時だった。


咲紀の目に何かが映った。


それはあたしではなく……後ろに立つ、明日香を映し出していたのだ。


ハッと息を飲んで振り返ると、そこには体がブヨブヨに膨れ上がった明日香が立っていた。


目や耳、鼻の穴から水がこぼれ落ち、足元を濡らして行く。


「愛奈ぁ……」


ゴボゴボと水を吐きながらあたしの名前を呼び、手を伸ばす明日香。


しかし、その手は途中で止まった。


明日香の体にはブロックが括りつけられていて、動く事ができないのだ。