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次の休日、机に向かって原稿を進めていたあたしは大きく息を吐きだしてスマホを確認した。


朝の9時半だ。


健太郎との約束時間は11時で、その前に少しでも原稿を進めておこうと思ったのだ。


咲紀の日記にはもう頼れないけれど、最初から自分で作った作品じゃないので、筆の進みは鈍かった。


1時間机にかじりついて原稿用紙1枚半しか進んでいない。


ここまでスローペースな執筆は初めてだった。


あたしは軽く舌打ちをして原稿用紙を学校の鞄にしまい、着替えを始めたのだった。