学校が閉められてしまう前に登山部のリュックも返しに来なければならない。


のんびりと考えている時間なんてなかった。


「川に行こう。重りをつけて沈めればいいだけだから」


あたしは早口にそう言い、リュックに入っているロープを和人に見せた。


重りと明日香の体をこれでくくりつけるのだ。


「それなら学校裏の川へ行こう。あそこは裏路地になるから人が少ない」


和人はそう言いながら明日香の膝を折り曲げた。


「なにしてんの修人。手伝ってよ!」


ボーっとしている修人に苛立ちを覚えてそう怒鳴る。


修人は泣きそうな顔になりながら、折り曲げられた明日香の体にロープをかけて固定した。


あたしはロープの端に2つのブロックをくくりつける。


これで準備は整った。


リュックの重さはかなりになるが、仕方がない。


「行こう」


あたしは2人へ向けてそう言ったのだった。