美春の葬儀が終ると、あたしは再び文芸部で作品を作りはじめていた。


咲紀の日記をそのまま書いただけじゃすぐにバレてしまうから、色々と脚色する作業が必要になってくる。


そのため、日記はまだ半分以上残っている状態だった。


「愛奈、この前はありがとう」


明日香がそう声をかけて来たので、あたしは手を止めて顔を上げた。


「なにかしたっけ?」


「葬儀場で気を使ってくれたでしょ?」


あぁ、そんなことか。


結局健太郎は明日香のことを家まで送っていた。


いつまでも泣き止まない明日香を見て、さすがに気になったのだろう。


「おかげで、ちょっと元気が出た」


明日香はそう言い、鞄から小さなチョコレートを2つ取り出してあたしの机の上に置いた。


お礼のつもりみたいだ。