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「どんな作品を書いてるの?」


部活中、明日香にそう聞かれてあたしは左右に首を振った。


「まだ、秘密」


「いつも教えてくれるのに」


「そうだけど、今回は秘密」


あたしはそう言い、両腕で原稿用紙を隠した。


とにかく、1度すべてを清書してみることにしたのだが、その内容は過激化してきていて、簡単に人に見せられるものではなくなっていた。


《今日もあいつを殺したい。人の才能を妬むあいつを八つ裂きにしてしまいたい》


咲紀のその言葉は、あたしへ向けられて書かれたものだったかもしれない。


「なぁに出し惜しみしてんだよ。大した才能じゃないくせに」


修人が笑いながらそう言い、あたしの肩を叩いた。


その言葉にあたしは修人を睨み上げた。


「な、なに怒ってんだよ……。こんなの、いつもの冗談だろ?」


『冗談』と言われてあたしは息を吐きだした。