「こんなもの、捨てちゃえ」


美春はそう言って咲紀のメモ帳をゴミ箱へと投げ入れた。


ボスッと鈍い音がして、咲紀が青ざめる。


「返して!」


そう言って立ち上がろうとするが、あたしが髪の毛を踏みつけているため咲紀は動けない。


「なんでこんなことするの!?」


咲紀は涙目になって懸命に叫ぶ。


なんでかって?


そんなの決まってる。


みんな焦っているのだ。


2年生に進級してから入部してきた咲紀に追い越されるかもしれないのだから。