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翌日、放課後になるといつも通り文芸部へと向かった。


日当たりが良くて、風通しもいい、心地いい部室。


あたしはここが大好きだった。


「愛奈。このコンテストどう?」


ルーズリーフを広げてキャラクターを考えていた時、明日香が公募雑誌を見せて来た。


「なに?」


「高校生限定! 等身大の作品求む!」


明日香が雑誌に書かれている見出しを声に出して呼んだ。


「等身大の作品ねぇ……」


ジャンルはなんでもOK。


現役高校生が、高校生を主人公にした作品を書くこと。


締め切りは一か月後になっている。


「気になるけど、今から考えて書いてちゃ締め切りに間に合わないよね」


1本の作品を仕上げるまで、最低でも2か月は必要だった。