あたしは咲紀の隣に日記があることに気が付いたのだ。


日記は岩と岩の間に挟まった状態で、流れていなかったのだ。


けれど、それを手にしようとするには咲紀に近づかなければならない。


咲紀に近づくとどうなるのか、考えなくても理解できた。


とにかく空気を取り入れなければ……!


必死の思いで水面を求め、両手を動かす。


もがけばもがくほど、咲紀の手の力は強まってあたしは川の底へと引き込まれて行く。


酸素が足りず、頭がボーッとしてきた。


体中が重たくて、手を動かすのもしんどいくらいだ。


やがて視界が真っ白に変わる瞬間、咲紀の笑顔を見た気がした……。