明日香の首にかけた手に、グッと力を込めた。


明日香は意表を突かれたように目を丸くし、両手の力を緩めた。


その隙に、あたしは大きく息を吸い込んだ。


肺一杯に空気を送り込み、そしてまた手に力をこめる。


立っていることができなくなった明日香は、後ろの椅子に崩れ落ちた。


それでもあたしは手の力を緩めない。


悪霊はここで殺してしまわないといけない。


殺してしまえば、もう二度と出てこないだろうから。


明日香が苦し気に身もだえし、助けを求めるようにあたしに手を伸ばして来た。


「もう1度死ね」


あたしは冷たい声でそう言ったのだった。