しかし、想はのたうちまわる事をやめなかった。


痛い痛いと連呼して右腕を押さえている。


「ちょっと浩哉、なにしたの?」


カノンは心配してかけつけるが、その顔は青ざめている。


「何もしてねぇって!」


「何もしてないわけないじゃん!? こんなに痛がってるんだから!」


「お、俺じゃない!」


そう叫ぶと浩哉は青い顔をして教室を出て行ってしまった。


「ちょっと、浩哉!」


カノンは慌ててその後を追い掛ける。


2人がいなくなった教室内は静けさに包まれていた。


想は起き上がろうとしないし、さすがに声をかけた方がいいかもしれない。


しかし……。


「あははははは!!」


床に寝転がったままの想が突然声を上げて笑い出したのだ。


「みんな見たか今の浩哉の顔! 傑作だったよなぁ!」


そう言って今まで聞いたことのないくらい、大きな笑い声を上げる。