それに、お役立ちアプリはあたしたちに命令なんてしていない。


ただ答えを出してくれているだけだから、従う必要なんてなかった。


それなのに浩哉はすべてをアプリのせいにして人を傷つけているのだ。


「浩哉のAI、イジメが悪い事だって学習してないのかな?」


小さな声で佑里香がそう聞いて来た。


「どうだろうね? 学習してたとしても、質問されたことには全部答えるようになってるとか?」


あたしも、同じように小声でそう返事をした。


学習能力の高いアプリだから、いいことか悪いことか、そろそろ覚えていても不思議じゃなかった。


どちらにしても、浩哉のすることに口出しをする気はなかった。


下手に動いて自分がターゲットにされるのも嫌だし、想を助ける義理もない。


ほっておけばその内飽きるだろう。


そう思い、あたしは大きな欠伸をしたのだった。