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沙月が登校してきたのはそれから10分後のことだった。


「おはようみんな」


そう言って笑顔を向けられると、あたしでもキュンとしてしまう。


「おはよう! ねぇ沙月、昨日すごいものを見たんだよ!」


あたしは沙月に駆け寄り興奮気味に言った。


このアプリを教えてくれた沙月に、真っ先に教えたかったんだ。


「なに?」


「昨日の駅の火事、知ってるでしょ?」


「もちろん。結構長く燃えてたってニュースでも言ってたね」


「その現場にあたしたちもいたの」


そう言うと、沙月は「本当に!?」と、声を大きくして言った。


「本当だよ。沙月が教えてくれたアプリに遊びに行く場所を質問したら、駅前のショップって言われたの。そしたら偶然あんな大きな火事に遭遇して、びっくりしちゃった!」


自分でも少し大げさかもしれないと思いつつ、身振り手振りを交えて力説する。


「写真は?」


沙月にそう聞かれてあたしは「え?」と、固まってしまった。


「あれだけの火事だったんだから、写真とか動画とか撮ったんじゃないの?」


「あ、それは……」