「なに?」


「その、昨日から言ってるアプリについて教えて欲しい」


卓治の言葉にあたしたち3人は目を見交わせた。


同じクラスにいるのからだら、卓治の耳に入っていてもおかしくはない。


「いいけど……」


そう言ってから、自分のスマホを取り出すのをためらった。


昨日の浩哉の事を思い出すと、教えていいものかどうか迷ってしまう。


「誰かをイジメたりとか、しないよね?」


卓治は浩哉とは違う。


そうわかっていても、念のために質問をした。


「イジメなんてする暇があったら練習するよ」


卓治はしかめっ面をしてそう答えた。


そりゃそうだよね。


朝倉高校はサッカーの名門校で、上手く行けばプロからのスカウトを受けることもある。


サッカーに熱意を注いでいる卓治がイジメのためにアプリを使う事はなさそうだ。


「わかった。教えてあげる」


安堵して、あたしはそう言ったのだった。