「念って……。それなら、美世ならアプリを止めることができるんじゃない!? 絶望を希望に変えてくれれば!」


「うん。できると思う。でもね、それじゃ洗脳効果が薄れるんだよ。人を操るのに絶望は必ず必要になるから」


「お願い美世! このアプリを止めてよ!」


「ごめんね麗衣。あたしは今の両親に恩返しがしたいの。だから……」


美世はおもむろに鞄からスマホをと取り出した。


「それ、俺のスマホじゃないか!」


「電車で使って椅子に置いた時、あたしが盗んだの。沙月のせいで、昌一はまだダウンロードできてなかったから」


美世はそう言うと、馴れた手つきでスマホをいじる。


「なにすんだよ!」


昌一はすぐにスマホを奪い返そうとするが、一歩遅かった。


スマホにはお役立ちアプリがダウンロードされ、画面上にはウサギが表示されていた。