美世の生活がガラリと変わったのは、その頃だったのだろう。


初めて外の世界を見た美世はいったい何を感じただろう。


「最初の頃は友達がなにを話していても理解できなかった。漫画もゲームもアニメもあたしは知らない世界だった。


でも、学校へ行くうちに友達が色々なことを教えてくれて、自分の生活がおかしいことに気が付きはじめたの。そして小学校3年生のある日、ついに先生に相談した」


「それで、保護されたのか?」


昌一の言葉に美世は頷いた。


「施設に入って半年くらいで、運よく養子として貰われることになったの。それが、今の両親」


だから、あたしは美世が施設にいたことを知らなかったんだ。


あたしが知っている元気いっぱいの美世は、元の家族からの洗脳を解かれた姿だったんだ。


「美世とこのアプリはなにか関係があるの?」


できれば違うと言ってほしかった。


ただの偶然だと思いたかった。