「あたしが小学校3年生になるまで、ずっと一緒にいた。でも、途中から離れ離れになったの。あたしが、施設に入ったから」


美世の言葉にあたしは唖然としてしまった。


美世が施設で育ったなんて、聞いたことがなかったから。


「ずっと、この家にいたんだねウサ吉」


《ボクが解決してあげる!》


その言葉に美世はクスッと笑い「懐かしいなぁ」と言った。


「美世、どういうこと? この場所のことも知ってるの?」


「もちろんだよ。あたしが小学校3年生まで暮らしていた家なんだから、忘れるわけないじゃん」


美世の言葉にあたしは後ずさりをしていた。


美世は以前ここに住んでいた?


そしてアプリの住所はここ……。


こんなの、偶然だとは思えなかった。


「美世、どういうことか教えてくれ」


昌一がそう言うと、美世はようやくぬいぐるみから視線をあげた。


「いいよ……?」


美世はそう言うと、ゆっくりと口角を上げて笑った……。