怠けたい気持ちや楽をしたい気持ち、自分だけ幸せになりたいと願う気持ち。


そういう隙にこのアプリは入り込んでくるのだ。


「そんなこと言ってももう遅いよ。みんなダウンロードしちゃってるんだから!」


クラス内と見回してみても、みんなスマホを片手に持っている。


それがA組では普通の日常になりつつあった。


「アプリを制作している会社に行ってみるのはどうだ?」


昌一の提案にあたしは目を見開いた。


「会社へ行けば、どうしてこんなものを使ったのかわかるだろ。もしかしたら、解決方法もわかるかもしれない」


「そう……だよね……?」


昌一のおかげで一筋の光が見えた気がした。


アプリの制作会社まで行くなんて、思いもつかなかったことだ。


「それならあたしも一緒に行く! これ以上被害を増やしたくないもん」


美世がそう声を上げた。


あたしも同じ気持ちだった。


そして普通の生活に戻りたい。


一刻でも早く……。