その優しさに触れた瞬間、なんの前触れもなく涙があふれ出していた。


「どうしたんだよ麗衣」


どうしてあたしはこの優しさに今まで気が付かなかったんだろう。


自分の気持ちにも、昌一の気持ちにも、もっと早く気が付いていれば……。


《ボクが解決してあげる!》


アプリがしゃべった。


しかし、目の前にいる昌一はなんの反応も示さない。


あたし自身の脳裏に響いている声だと、すぐに気が付いた。


《まつ毛を長くすれば、昌一はまたキミを見てくれるようになるよ!》


まつ毛……。


そんなことしたってどうにもならない。


もっと、深い場所から変えていかないと……。


それも、アプリに質問すれば答えてくれるんだろうか?


「……ごめん昌一、あたしもう帰るね」


そう言い、あたしは昌一を置いて教室を出てしまったのだった。