どうやらあたしは、美世からスマホを返してもらったその時に自分でアプリをダウンロードしていたようだ。


そんなこと、全く記憶になかった。


「麗衣」


放課後の教室で1人呆然と座ったままでいると、昌一が声をかけてきた。


「え……?」


どうして昌一がここに?


そう思ったが。上手く言葉にならなかった。


「忘れ物を取りに来たんだ。どうした? 元気ないな?」


そう言いながらも、昌一はあたしの側に立っている。


「あ、うん……」


今日の出来事が今でも信じられなかった。


アプリからの洗脳は本物だ。


「昌一、忘れ物って?」


「あぁ、うん」


昌一は曖昧にそう言ったまま、動こうとしない。


忘れ物とは嘘で、あたしのことを心配して戻って来てくれたのかもしれない。