みんな知っているクラスメートたちなのに、目の色が灰色に見える。


「苦しいんでしょ? もう1度ダウンロードしなよ」


今度は前方から声がして、息を飲んで視線を向けた。


そこにも何人かのクラスメートたちが立ち、あたしを取り囲んでいる。


「みんな……どうしたの?」


「ダウンロードすれば楽になるんだぞ?」


「ダウンロードしなよ」


「苦しいんでしょ?」


「もう1度アプリを入れたらいいんだよ」


四方を囲みこまれ、灰色の目をしたクラスメートたちが呪文のように繰り返す。


唖然としながらあたしは左右に首を振った。


「く、苦しくなんかない!」


本当に?


「アプリなんて、あたしにはもう必要ない!」


本当に?


ダウンロードし直せば、楽になるのに……?