卓治と成仁の2人は救急車で病院へ運ばれた。


その時の様子を遠目からみていると、2人の足は完全に逆を向いていたように見えた。


そこまでなるほどグラウンドを走っていたなんて、普通じゃない。


救急車に乗せられる時だって、2人は「決着を付けたいんだ!」と、大きな声で叫んでいた。


アプリを使う前の爽やかな2人は、今はもうどこにもいなかった。


壮絶な光景を見てしまったあたしは、さすがに恐怖心を抱いていた。


あのアプリに頼っていると、最終的にあたしも命を落とす事になるんじゃないか?


そんな不安が湧き上がって来る。


「大丈夫か?」


そんな声がして顔を上げると、昌一があたしの机の前に立っていた。


「うん……」


そう返事をする声が、想像していた以上にか細い。


「顔色が悪いぞ。保健室に行ったらどうだ?」


昌一にそう言われたけれどあたしは左右に首を振った。