真相を知るためにあたしは席を立って沙月へと近づいた。


男子生徒たちの間をかき分けて「ちょっと、話いいかな?」と、沙月に声をかけた。


「なに?」


そう聞きながらも席を立とうとしない沙月。


自分に話があるならここですればいいという雰囲気だ。


隠れて話さなければならない内容ではないから、いいけれど。


「沙月が教えてくれたアプリのことなんだけど」


あたしがそう言うと、一瞬沙月の表情がひきつったように見えた。


けれど次の瞬間にはいつも通りに戻っている。


あたしの気のせいだろうか?


「アプリがどうかした?」


「最近、沙月はあのアプリ使ってないよね? どうして?」


「どうしてって……使う必要がないからだよ」


沙月は視線を泳がせながらそう言った。


明らかに嘘をついている。