激しい痛みが全身に駆け抜けていた。


流れた血が目の中に入り込み、目の前が真っ暗になる。


ハサミの先端には血がついて自分がなにをしたか物語っていた。


しかし……。


「もう片方も切らないとね」


あたしはウキウキとした気分でそう呟き、残っている方の目にハサミを向ける。


痛いけど、真っ暗で何も見えないけれど、これで沙月に勝つ事ができると思うとどうでも良かった。


もしかしたら、今沙月に群がっている男子たちもあたしに来るかもしれない。


「あははっ……!」


こんな楽しい気分になったのはいつぶりだろう?


メークをするだけで、ご飯を抜くだけで、目を切るだけで、こんなに幸せな気分になれるなんて思っていなかった。


「あははははは!」


あたしは大声で笑いながら、目じりを切り裂いたのだった。