「本当だね。さすがに2人分の葬儀ってなると人数も多かったよね」


佑里香が両腕を伸ばすストレッチをしながらそう言った。


カノンの時は質素な葬儀で、身内の人が数人いただけだった。


「今日はまだアプリを使ってないから、なんか変な感じ」


佑里香はそう言うとスマホを取り出した。


「葬儀会場で使わなかったの?」


「さすがに我慢しんだよ。麗衣は?」


「あたしは使っちゃった。葬儀場での作法と、今日の晩ご飯を聞いたよ」


「あ、あたしも晩ご飯なににするか聞いとかなきゃ」


そんなやりとりを遠くから見ていた昌一が早足でこちらへ向かって来た。


「なぁお前ら」


「え、なに?」


心の準備ができていなかったあたしは、突然昌一に声をかけられてドキドキしてしまう。


「葬儀場までアプリ使うとか、やっぱり変だろ」


真剣な表情でそう言ってくる昌一にあたしは首を傾げた。