「わかんないけど、でも……」


そこで言葉を切って教室の中央へと視線を向ける美世。


続いて視線を向けてみると、そこには卓治と成仁がいた。


2人とも机が隣同士だからよくサッカーの話で盛り上がっていたけれど、今は互いに背を向けて座っている。


少しでも相手を視界に入れないようにしているように見えた。


成仁の怪我は随分と良くなってきているようだけれど、2人の関係は完全に崩壊してしまっているようだ。


「最初からライバルなんだもん。あれは仕方ないよ」


あたしは早口でそう言っていた。


まるでアプリを擁護するような言葉が自然と出て来たので、自分でも驚いてしまった。


「ライバルってさ、ちょっとしたことで完全な敵になっちゃうでしょ?」


思ってもいない事が口をついて出て来る。


「そうだけどさ……」