それはあたしたちにとっては好都合だった。


カノンは誰にも迷惑をかけることなく、1人で死んで行ってくれたのだから。


「あ、でも浩哉は悲しんでるか」


思い出してそう呟いた。


浩哉はカノンが死んでからずっと学校へ来ていない。


相当ショックを受けているようだ。


「浩哉も、よくあんな女のことで本気になれたよねぇ」


ウインナーを口に運びながら美世は言った。


「それ、あたしも思ってたよ。カノンなんてどう見ても腹黒じゃん」


あたしはそう言って笑った。


カノンのどこがいいのか、死んだ今でもわからないままだ。


だけど、浩哉は確かに真剣にカノンのことが好きだったのだろう。


じゃないと、自分が犠牲になって全裸になることなんて、なかったハズだ。


「想、大丈夫かなぁ?」


あたしは今日学校へ来ていない想を思い浮かべて、呟いたのだった。