階段から落下したのか、足が逆方向を向いている。


「あ~あ」


呆れたような声が聞こえてきて振り向くと、そこには笑みを浮かべた想が立っていた。


「想……」


「俺、カノンに階段から突き落とされたこともあったんだ。全く同じことになるなんてね。でも見たところこっちは助かりそうにないね」


学校の階段はそんなに長くないし、コンクリートでもない。


よほど運が悪くなければ死ぬようなことはないはずだ。


それなのにカノンの体からはジワリと血が流れ出し、周囲を染め始めていたのだった。