それから5分ほど経過した時だった。


いつもは朝練をしているはずの卓治と成仁の2人が教室へ入って来たのだ。


「え……っ」


2人を見た瞬間教室中が絶句し、驚いた空気が流れて行った。


卓治も成仁も、同じように松葉づえをついて歩いているのだ。


「なにがあったんだろう」


教室内のどこからか、そんな声が聞こえて来た。


怪我をしていたのは成仁だけだったハズだ。


でも……。


あたしは成仁にもあのアプリを教えた。


その後卓治も同じような怪我をするなんて……。


とても偶然だとは思えなかった。


「卓治」


声をかけて見たけれど、卓治はあたしに視線を向けることなく席へと向かう。


「おはよう」


機嫌よくそう言ったのは成仁の方だった。


「成仁……」


「これでフェアだろ?」


成仁はそういい、ニヤリと笑ったのだった。